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サイレント シャドウズ

アジアと欧米アーティストによる文化交流を目的としたワークショップ
 

 

 

ワークショップ「サイレントシャドウズ」企画概要

アジアと欧米の数カ国より、優れた若いアーティストを招聘し、21日間のワークショップを行います。 参加者は、「サイレントシャドウズ」という共通のテーマに沿って、各自の作品制作と発表を前提に、こ のテーマ「静寂と闇」について観察し、新たな発想へと意識を広げるための手がかりとして、ワークショ ップの前半9日間において、参加者全員が一切の会話を止め、電器照明を使わない共同生活を体験します。 通常の生活環境と会話を主とした交流ではない、実験的な交流と体験を通じ、概念的に「静寂と闇」につ いて考え、作品化するだけでなく、新たな発見や驚きから生まれるアート作品の創造を期待します。会期 後半は、通常の生活環境と交流スタイルに戻り、各自の作品制作と同時に、アーチィスト間の自由なコラ ボレーションやディスカッションなど、広がりのある、芸術文化の交流を行います。 ワークショップ最終日には、ヴィラと周囲の広大な敷地を利用した、展覧会を開催し、一般公開します。

 

背景

日本の文筆家、谷崎潤一郎は、著書「陰翳礼讃」の中で、日本人が長い歴史の中で育んできた美意識には、影や闇の存在を生かし、生活環境の中に繊細かつ美しく取り入れる工夫を積み重ねながら、陰や闇を美と してとらえようとする感覚や、死への途上で、色褪せてゆく事物の中にさえ美を愛でるという、独特の美 意識を発展させていたことを、詳しく述べています。 このような美意識は、欧米文化や一般的な現代人の視点からは、特異なものに見られがちです。それは闇 が、人にとって未知の対象であり、恐れや死、消滅などへと連想させられるからではないでしょうか。 過去の日本文化では、自然のあるががままの世界を受け入れ、敬う、思想や宗教観から、建築や芸術、芸 能、手工芸、食、衣服、男女の関係や旅、人生観に至るまでの、あらゆる日常生活の端々にみられたもの でありながら、現代生活において、ほぼ失われようとしている感覚でもあります。 一方西洋では、光や輝きがより賞賛され、陰や闇は、ネガチィブなイメージとして捉えられてきました。 彼らは、自然の一部として光や闇を受け入れるだけの生活から、ガラス窓や照明器具の発明、料理を美し く見せるための白い食器、白く塗られた室内の壁や白い便器やバスタブなど、より明瞭な光のもとに物事 をとらえることを求め、技術を開発しながら、多くの光を生活の中に取り入れる努力を続けてきました。 日本人が、陰の中で僅かに認められる色や香りや音を頼りに物の存在を感じ、その曖昧模糊とした様子を 愛し、それらを美しく生活の中に取り入れようと工夫を凝らしてきた態度とは対照的に、積極的に外部環 境を変化させ、明るさを求め続けてきました。そして現在、東西を問わず、真夜中でもスイッチを押せば、 闇は一瞬にして姿を消し、明るい光のもとで安心して生活できる、光に溢れた生活環境が一般的なものと なりました。と同時に、闇は私たちのもとから遠ざかり、意識の中から薄れ、闇を恐れる実感も徐々に 忘れつつあるのではないでしょうか。

また、静寂についても闇と同様のことが言えます。人は音には、非常に注意を向けますが、音と音の隙 間にある静寂に関しては、その存在に気づかずにいます。この音と静寂の関係や音楽そのもののに対す る一般的な考え方を解体し、私たちに気づかせてくれた現代音楽家ジョンケージは、著書「サイレンス」 の中で、以下のように語っています。 「ヨーロッパの思想は、ふと耳を傾けたり不意にくしゃみをしたりというように、実際に起こるできご とは、深遠なものとは見なさないという考え方をもたらした。去年の冬、コロンビア大学で行った講義の なかで鈴木大拙は、東洋の思想とヨーロッパの思想には相違があり、ヨーロッパの思想では物事がつぎつ ぎと何かを引き起こし結果をもたらすものと考えられているが、東洋の思想ではこの原因結果という見方 は強調されず、かわりに人は今ここにあるものと一体化する、と述べた。鈴木はそれから二つの性質、す なわち無礙と融通について語った。さてこの無礙とは、全宇宙において、個々の物事や個々の人間が中心 にあり、さらにこの中心にある個々の存在が、あらゆるもののなかで、もっとも尊いものだ、ということ をあらわしている。融通とは、これらの尊いものが、それぞれあらゆる方向に滲み出していき、いつどん な所でも、他のすべてのものと浸透しあうことを意味している。したがって、原因も結果もないと言うと き、そのことが意味しているのは、原因結果は計算できないほど無限にあるということ、実際にはあらゆ る時空間におけるあらゆるものが、それぞれ、あらゆる時空間における他のあらゆるものと関係している ということである。こういうわけで、成功と失敗、美と醜、善と悪という二元論な見地から注意深く進む 必要はなく、マイスターエックハルトを引用するなら、『私は正しいのか、あるいは間違ったことをして いるのかと自問することなく』、ただ歩き続ければいいのである。」

会話のない、電気のない生活を9日間も体験したことのある人は、あまりいないのではないでしょうか。  陰や闇は視覚的な、静寂は聴覚的な体感を通じ、私たちの意識や意識下にどのような表情を見せ、うっ< たえかけてくるのでしょうか? このワークショップで、おもしろい発見や新たな意識の転換が起こるか もしれません。アートは常に、意識の解体と新鮮な眼差しから始まります。この誰もが未体験のワークシ ョップで、普段私たちが注意を向けることの少ない「静寂と闇」を、見つめ、考え、体験することで、今 までとは違った視点から捉えた、現代の「静寂と闇」を表現したアートワークが期待できるはずです。

 

あえて自ら語ることのない、影、闇、静寂。
それらに、注意を向けてみませんか?
語らぬ存在だからこそ、神秘であり、底知れぬ力を秘めているのかもしれません。
それらは私たちに何を問いかけけくれるのでしょうか?
それを知るためには、私たちの目や耳や心がまず変わる必要があるのではないでしょうか?

Sounds come and go, but the silence remains.
Silence, unbroken, except for occasional noises.
The substance is silence, dark silence.
There is always some stir, some light, some sound, then they stop,
and there is only dark silence.

I wait in the dark, in the rain, no sound but the rain.
Waiting, not waiting, doing nothing but waiting.
Does the darkness move? Does the silence move? They dont, and neither do I.
Are they waiting? I have no way of knowing.

(Robert Lax)

 

日程

10月6日から2日間
アーティスト到着後の最初の2日間は、お互いを知り合い、居住環境を確認するために利用します。
(ヴィラの他に、菜園や古木のある大きな庭園、ヌシャテル湖岸にあるビーチや保護森林などがあります)
この2日間は、会話は通常のようにでき、電器照明も利用できます。

10月8日より9日間
会話を止めた生活、電灯を使わない生活となります。(ロウソク使用可)
その他の生活環境は、普通です。
私たちは、通常経験しない生活と交流の中で、自分たちの意識がどのように変化していくのかを、観察し
ながら、創作活動していきます。

10月17日より10日間
通常の会話と電気照明を使える生活に戻ります。
創作活動と展覧会の準備を進めます。展示場所を各自決め、プログラムを制作します。

10月26日(最終日)
「サイレントシャドウズ」の展覧会(一般公開)
ワークショップ終了

10月27日
アーチィスト出発

 

日課

早朝6時、「あ、そうでうか寺」(座禅用のテント)にて45分間の座禅とその後の15分間のきんひん
(ゆっくり歩を進める瞑想)(自由参加)
夕方6時、「お茶会」静寂の中で日々の疲れを休め、一杯の緑茶をいただきます(自由参加)

朝8時より、ブッフェ朝食(各自自由な時間に)
昼12時、昼食(交代で料理当番)
夕方7時、夕食(交代で料理当番)
(後片付けは、交代で行う)

水曜午後2時、畑仕事(全員参加)
日曜午前10時、清掃(全員参加)

 

公表

ラボラトワーヴィラージュノマドの年間プログラム「in 214 Worlds Around the Day」の全会期中を通し て、「Radio Village Nomade」という、214日間、毎日インターネットラジオで数分のオーディオプレ イを配信するプロジェクトが同時進行しています。これは、ゲストアーティストやインターネットを通して 繋がる世界中の関連アーティストによりクリエイトされる、サウンドアートプロジェクトです。 ワークショップ「サイレントシャドウズ」の期間中もこのプロジェクトが行われ、双方のコラボレーション からなる作品が、毎日インターネット上で発信されていきます。 また、「jourparjour cie」はウェブサイトを通して、ワークショップの様子をオンタイムでお知らせします。 ワークショップの最終日は、21日間のアートワークを、一般の人々へのオープンイヴェントにて公開しま す。パフォーミングアーツやミクスト メディア ショウ、テキスト、絵画、写真など、幅広いフィールドか らの作品を、ワークショップ開催地、La Corbiereにて発表し、一般公開します。

 

参加アーティスト

アジア
ニシジマアツシ : サウンドアーティスト (日本)
小川智彦 : ランドスケープアーティスト (日本)
東好美 : 陶芸家 (日本)
下村美佐 : 音楽家 (日本)
茂木綾子 : 写真家、映像作家 (日本)

欧米
アフラ·ドプファ : アーティスト (ドイツ)
マリオン·ノイマン : 映像作家 (ドイツ)
ヴェルナー·ペンツェル : 映像作家 (ドイツ)
イサム·クリーガー : アーティスト (スイス)
タムリン⋅ヤング ; アーティスト(南アフリカ)
メリッサ⋅クラゴ ; ダンサー (アメリカ)
テレザ·ウォン : 音楽家、ビジュアルアーティスト (アメリカ)
スドゥ·テワリ : サウンドアーティスト (アメリカ)

 

企画協力団体

P3 art and environment(ピースリー アート アンド エンヴァイロメント) P3は当初P3 Alternative Museum, Tokyoという名称で1989年4月に東京四谷の禅寺、 東長寺の開創400年記念文化事業の一環として活動を開始しました。 その後、施設名ではなく活動のテーマを表す P3 art and environmentと名称を変えて東長寺から独立し、さまざまな外部組織や団体と協同して、おもに現代美術に関係する活動を行っています。 人間と環境、人間と社会のあいだの、ダイナミックな相互形成プロセスに焦点をあて、すぐれたアーティストたちの作品を社会に提示していくことを使命とします。 「サイレントシャドウズ」では Laboratoire Village Nomade(ラボラトワーヴィラージュノマド)と協同し、アーティストの選定を行っています。

 

開催期間:2008年10月6日から10月27日まで(21日間)

企画•キュレーション : jourparjour cie

実施場所:La Corbiere 3, Estavayer-le-Lac, Switzerland

連絡先 : tel 41-(0)26-6638323 

info@jourparjour.net

http://www.jourparjour.net/

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助成団体


野村国際文化財団

東長寺

EU−ジャパンフェスト
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